FRPシャフトについて

・良質の竹柄を再現を試みたのが当工房のFRP柄の特徴です。木柄やカーボンシャフトに比べ、FRP柄は竹柄に近いようなしなりを感じます。
・自然の竹柄を意識した黄味がかった配色と、マット加工を施しています。
・手元にはグリップチューブとシャフトキャップが標準装備されます。その分、シャフト全体の重心は手元に寄ります。


竹柄に対する短所は何なのか

・人工物ですので、何と言っても竹柄がもつ自然ならではの良さはありません。竹ならではのすっと手に馴染む安心感というか。ただしこれは既知感や慣れという要素も小さくないと思います。
・作る側としては、自然(節の位置やテーパリング)を活かしたマレットが作れないのが大きなデメリットです。
・削ったり切ったりという加工性は竹柄の方が高いです。


竹柄に対する長所は何なのか

・色味を含めた微細な質感の左右差や、0.1mm単位の太さの左右差は、発生しません。
・それに関連して、製作時にも左右の太さや質感を揃える必要がなく、もともとの曲がりや楕円を修正する必要がありません。こうした工程を省略することによって、比較的安価な提供が可能です。
・変形耐性が高く、使っているうちに徐々に曲がったりしません。
・湿度耐性が高く、飛行機に乗ったら割れてしまったということもありません。
・木や竹のような吸水性は無いため、使用後はアルコール消毒が可能です。

AETERNAシリーズとは何か①

・エテルナシリーズは、アカデミアマレットのアーカイブから特に人気のあるモデルをFRPシャフトで再現したシリーズです。
・コルク芯を採用したオーソドックスなデザインです。
・エテルナシリーズで採用するFRPシャフトの重量は、20.0g±0.5gほどです(36cm)。軽すぎずも重すぎない竹柄のウェイトをイミテーションしています。
・形状はテーパリングなしのストレートタイプで、直径11mmです。これも、平均的かやや太めの竹柄を再現しています。

AETERNAシリーズとは何か②キットラウスシリーズとの比較

・キットラウスシリーズの多くは芯が遠い(フェルトが厚くモコモコとしている)のに対し、エテルナシリーズは芯近めです。同じくらいのヘッドサイズのマレットを比較すると、エテルナのほうが芯が大きくフェルトが薄い、と言えます。
・キットラウスシリーズは、体のより中心に近い部分で生み出したエネルギーを効果的に打面に伝えることをコンセプトとしており、非常に軽めのシャフトを用いています。身体全体のしなやかな扱い方が物を言う、やや玄人志向といえるキットラウスシリーズ。これに対し、エテルナシリーズはバチ自体の重さで響きを引き出すことができます。
・キットラウスシリーズに比べて、ドイツフェルト巻きの最終工程を省力化しています。ザツというわけではありません。「超丁寧」か「丁寧」かの違い程度だと思ってください(個々人の感じ方にもよりますが、、、)。
・直近5年間のニーズ傾向から、全体的にヘッドサイズは小さめです。最大のPurpula(プルプラ)でも、せいぜい市販の「ミディアム」~「ミディアムソフト」程度です。いわゆる「ソフト」レベルのものとなると、キットラウスシリーズの検討をおすすめいたします。

AETERNAシリーズ デザインシート

※概算数値であり、実際は測り方などによる誤差が生じます。

01 Rufus(ルフス)

・シャフト長:36cm
・コア:コルク芯(Φ29.5mm)
・外巻き:セーム革
・ヘッド径:約Φ31mm
・重量:約26g(チューブ除く)

大きめのコルクコアに綿テープを一周巻き、その上にセーム革を巻いています。本皮ヘッドを叩く場合は、小さいコルクコアにセーム革を直接巻いたものでも良いトーンが得られましたが、プラスチックヘッドではパーカッシブな打音が勝ってしまいました。コア自体を大きくして、さらに綿テープを一枚巻くことで、プラスチックヘッドでも響きと音程が大幅に良くなりました。

・使用シーン例:
シューベルトの交響曲「ザ・グレート」の三楽章(冒頭の細かいパッセージ)やハイドン交響曲第94番「驚愕」の二楽章(びっくり音)など、ツブツブを際立たせたいときや、ここぞというところで飛び上がるような音を出したいときに。また、現代楽器を利用したピリオド・アプローチにおけるメイン戦力として。

02 Ater(アーテル)

・シャフト長:36cm
・コア:コルク芯(Φ24.5mm)
・外巻き:高密度フェルト
・ヘッド径:約Φ28mm
・重量:約24g(チューブ除く)

最大の特徴はフェルトの質です。この手のフェルトを片っ端から試して、明快なサウンドとともに、いちばん音程感と響きが得られるものを選びました。いわゆる「ベリー・ハード」系をいくつも試して、しっくり来るものが得られなかったというプレイヤーにおすすめです。

・使用シーン例
ベートーヴェンをはじめとした古典派の楽曲の第一楽章。あるいは第四楽章。クッキリとした輪郭を描きたいシーンで、主力として活躍します。

03 Rosa(ローサ)

・シャフト長: 36cm
・コア:コルク芯(Φ24.5mm)
・外巻き:ドイツフェルト
・ヘッド径:約Φ32mm
・重量:約25g(チューブ除く)

ローサ(桃色)の構成は、小さめのコルク芯→フェルトテープ1周→ドイツフェルト1枚。小さめサイズで、叩き方に機敏に応える玄人好みのシンプル構成です。FRPシャフトならではの耐久性により、演奏旅行や合宿でも頼れる存在です。

・使用シーン例:
「ハード」~「ミディアムハード」が求められるシーン全般にお使いいただけるオールラウンドモデルです。

04 Silva(シルヴァ)

・シャフト長: 36cm
・コア:コルク芯(Φ24.5mm)→綿テープ
・外巻き:ドイツフェルト
・ヘッド径:約Φ35mm
・重量:約27g(チューブ除く)
コルク芯→綿テープ→フェルトテープ→ドイツフェルト。コアは素朴なスタイルのローサ(桃色)がベースになっていますが、さらに充実した音程感、華やかさと温かみのある綿テープの音色が加わりました。

・使用シーン例:
シューマンやメンデルスゾーンといった、初期ロマン派以降の香り高いシンフォニーにふさわしいサウンドを描きます。

05 Purpura(プルプラ)

・シャフト長: 36cm
・コア:コルク芯(Φ29.5mm)
・外巻き:ドイツフェルト
・ヘッド径:約Φ40mm
・重量:約28g(チューブ除く)

大きめのコルク芯→フェルトテープ1周→ドイツフェルト1枚というシンプル構成。やはりこちらもベースはRosa(桃色)で、そのままアップサイジングしました。より重厚さや迫力が求められるシーンなどで使い分けることで、表現の幅が広がります。

・使用シーン例
「ミディアム」~「ミディアムソフト」が求められるシーン全般にお使いいただけるオールラウンドモデルです。